国連の成立と目的
国連は、世界の平和と経済・社会の発展のために協力することを誓った独立国が集まってできた、ユニークな機関です。国連は、1945年10月24日に正式に発足しましたが、そのときの加盟国は51カ国でした。今では加盟国の数は185カ国に増えています。(2000年9月5日、総会がツバルの国連加盟を承認し、現在の国連加盟国総数は、189となっている。)
今までに国連から脱退した国はありません。インドネシアは、1965年、隣国マレーシアとの紛争を理由に一時国連を離れましたが、その翌年には再び国連に戻っています。
各国とその国民を代表するのはあくまでも政府です。国連はどの国の政府も国民も代表するものではありません。国連はいわば主権国家の組合のようなもので、加盟国が望むことだけを実行できるのです。国連はむしろ、独立した国々が集まって、個別の国の問題や、全体的な問題を話し合う場であるといえるでしょう。
国連憲章は、各加盟国の権利と義務、そして、加盟国が自ら設定した目標を達成するために何をすべきかを説明する、一連の指針となっています。ある国が国連に加盟するということは、憲章の目的と原則を受け入れるということです。1945年6月26日、50カ国の代表は、サンフランシスコで国連憲章に調印しました。ポーランドは、戦後の政府ができあがっていなかったために、代表を送ることができませんでしたが、後に憲章に署名し、第51番目の国連原加盟国となりました。
米国は、国連本部受入れ国として、憲章原文の保管を要請されました。この憲章原文は、現在もワシントンの国立公文書館に保存されています。ニューヨークの国連本部には、憲章の写しが展示されています。
国連には次の4つの重要な目的があります。
全世界の平和を守ること
各国の間に友好関係を作り上げること
貧しい人々の生活条件を向上させ、飢えと病気と読み書きのできない状態を克服し、お互いの権利と自由の尊重を働きかけるように、共同で努力すること
各国がこれらの目的を達成するのを助けるための話し合いの場となること
国連本部はニューヨークにあります。ロンドンで開催された第1回国連総会では、国連の常駐本部を米国に置くことが決定されました。現在の国連本部は、低いドーム型の国連総会ビル、ガラスと大理石でできた39階建ての国連事務局タワー、川に面した低い長方形の会議場、敷地の南西隅にあるダグ・ハマーショルド図書館の、4つの建物からなっています。
国連本部の土地と建物は、国際的な領域となっています。国連は、自分の旗を持ち、敷地内を警備する警備員を雇い、自らの郵便切手を発行しているのです。