内容紹介
21世紀の「食」をプロデュースする人材のための入門書
人間は量的にも質的にも「安心して食べる」ことを求めてきました。
しかし、いまだその「安心」が、心からの「安心」となっていません。それは、なぜでしょう。
その一方で、食べることは「便利」になってきました。
食べることの不自由は、どのように解消されてきたのでしょう。
また、私たちは「豊かな」食生活を実現してきました。
しかし、それらの「豊かさ」は、私たち人間を「幸せ」にしているのでしょうか?
本書は、こうした「問い」に応えながら、食品ビジネスの「川上」から「川下」まで
食料資源・環境から食品産業、食文化・食品科学まで
幅広い範囲の「食」をわかりやすく解説しています。
このような方におすすめ
農学系、栄養学系、経済学系の大学1、2年次生。
農学系、栄養学系の進路を目指す高校生。
「食の将来」に関心を抱いている一般社会人。
目次
主要目次
第0講 「食」はどう変わったのか ─「食」のルーツと近未来の「食」を考える
第I編 安心して食べる「食の安全・安心」
第1講 なぜ食品偽装が起きるのか ─偽装表示がゴロゴロ
第2講 いつまでも食べ続けたい ─高齢者向け市場の拡大
第3講 有機農産物って? ─有機農業者たちの取組み
第4講 大豆油で自動車が走る? ─非化石燃料としての植物油の可能性
第I I編 便利に食べる「食品産業の生成・発展」
第5講 たかが即席麺、されど即席麺 ─即席麺開発の原点を探る
第6講 食生活を変えた調味料 ─うま味調味料による簡便化の実現
第7講 「におい」は儲かる? ─研究の進展と香料産業の拡大
第8講 ミルクは好きですか? ─酪農・乳業の発展と私たちの暮らし
第9講 アメリカ人は何を食べているか ─飽食国家を覗いてみれば
第10講 インド人は何を食べているか ─「神々」と「カースト」と「貧困」
第I I I編 豊かに食べる「飽食ニッポン」
第11講 ファストフードの進撃 ─マクドナルドは私たちの食生活を豊かにしたか?
第12講 スローフードの逆襲 ─スローフードから学ぶこと
第13講 豊かな食を育む農村の魅力 ─宝物さがしのすすめ
第14講 フードツーリズムのもつ力 ─生産者と消費者をつなげる新たな挑戦
第15講 食品ロスは豊かさの証し? ─食品の3割は捨てられている
補講 高等学校における食教育 ─『食ビ』の種は大学入学前から!!
詳細目次
第0講 「食」はどう変わったのか ─「食」のルーツと近未来の「食」を考える
プロローグ
さまざまな「食」との出会い
現代の「食」のルーツとは
私たちの「食」はいつどのようにして形作られてきたのか
地球規模の新たな「食」の創造を目指して
社会科学と自然科学からのアプローチ
第I編 安心して食べる「食の安全・安心」
第1講 なぜ食品偽装が起きるのか ─偽装表示がゴロゴロ
食品偽装の真相に迫る
食品偽装天国ニッポン?
食品偽装はなぜダメなのか? その理由を経済学が答えます
食品偽装が国際問題になるかも?
食品の安全と安心は同じ?
偽装表示は減らせるか?
● コラム 太らない飲料?
第2講 いつまでも食べ続けたい ─高齢者向け市場の拡大
超高齢社会という新たなチャンス到来!
年齢を重ねると体はどうなる?
“安全” な食べ物、“危険” な食べ物
そもそも「おいしい」って?
スプーンですくえるたけのこ!? 骨まで丸ごと食べられる魚!?
アクティブシニアをつかめ!
第3講 有機農産物って? ─有機農業者たちの取組み
有機農業・有機農産物って?
近代農業の問題点 ─農薬使用によるさまざまな影響
有機農業の「誕生」と有機農業者
有機農業の現状 ─世界と日本
有機農業認証の問題 ─地球の裏側からのオーガニック
安全においしく、そして楽しく食べるために ─今後の有機農業
● コラム 有機農業
第4講 大豆油で自動車が走る? ─非化石燃料としての植物油の可能性
から揚げとトラックの共通点
裁定取引 ─アービトラージ
軽油と似ている植物「油」
バイオディーゼルとカーボンニュートラル
2つのトピック ─間接的土地利用、お皿とタンクの競合
バイオ燃料の未来は明るいか?
第I I編 便利に食べる「食品産業の生成・発展」
第5講 たかが即席麺、されど即席麺 ─即席麺開発の原点を探る
人を幸せにする51m
“油熱乾燥法” のヒントは天ぷら
失敗と本業と開発
● コラム 「豪華1000 円即席麺」が発売されていた
ヒット商品の見えない技術
ライバルは社内にあり!
進化する即席麺
第6講 食生活を変えた調味料 ─うま味調味料による簡便化の実現
おいしさと健康
新分野の開拓者、池田菊苗
うま味研究の着想とうま味調味料の製品化
積極的なマーケティング活動の展開
うま味調味料による「だし」のうま味の簡便化
第7講 「におい」は儲かる? ─研究の進展と香料産業の拡大
香りの利用は古代から
食べ物のおいしさは何で決まる?
香りが認知されるしくみ
香りを調べる
新しい分析技術が実生活に役立つ
香料産業のいまとこれから
● コラム リケジョ? いえいえこれからはノケジョ!
第8講 ミルクは好きですか? ─酪農・乳業の発展と私たちの暮らし
牛乳・乳製品の歴史を振り返る
牛乳・乳製品需給の特徴はコレ!
牛乳・乳製品需給の今日の姿
なぜ、牛乳・乳製品は国産と輸入が併存するのか?
バターはなぜ不足するのか?
北海道と都府県の酪農・乳業の違いは?
東日本大震災から学んだことは何か
酪農・乳業の新たな潮流 ─グローバル化時代の乳業に求められるもの
ローカルな視点も必要な酪農・乳業
● コラム オスはどこへ行った
第9講 アメリカ人は何を食べているか ─飽食国家を覗いてみれば
豊かな国、アメリカ
このようなアメリカの食文化はどうやって形成されたの?
アメリカ人は肥満だらけ?
実際どのくらい食べているの? ─供給熱量からみるカロリー
肥満の裏にあるもの 食品企業の戦略
「食」のレジャー化に対する政府の動き
第10講 インド人は何を食べているか ─「神々」と「カースト」と「貧困」
インドから「食」の未来を考える
「スパイスがいのち」 ─不思議の国「インド」の食文化
神々(宗教)とベジタリアン(菜食主義者)の関係
カースト制度とハリジャン(不可触民、アウトカースト)の食生活
「飢餓」と「肥満」
地球のキャパシティは何億人?
第I I I編 豊かに食べる「飽食ニッポン」
第11講 ファストフードの進撃 ─マクドナルドは私たちの食生活を豊かにしたか?
マクドナルドは45歳
マクドナルドには同級生がたくさんいる
いつでもどこでも同じ味を提供できる理由
「早さ」「安さ」「手軽さ」は、好きですか?
フードがビジネスになった時代
この時代、何を食べたらよいか?
第12講 スローフードの逆襲 ─スローフードから学ぶこと
スローフードとは何か
作物や家畜の在来種や地域固有の加工品を守る
なぜ、伝統的な品種や加工品は消えようとしているのか?
テロワールと味覚教育
スローフードにおける質の高い食品を守るための基本戦略
スローフードから学ぶこと
第13講 豊かな食を育む農村の魅力 ─宝物さがしのすすめ
クリスマスのイチゴと農村
多様な農産物を届ける農村
農村の今
農村での宝物探しのすすめ
● コラム 農村での宝物づくり
第14講 フードツーリズムのもつ力 ─生産者と消費者をつなげる新たな挑戦
「食を五感で学ぶ」
食(フード)と観光(ツーリズム)
食文化を支える基盤に関する諸問題
食や農を「つなぐ」アプローチとは?
フードツーリズムをつくるためのアクションリサーチ
地域活性化に果たすフードツーリズムの可能性
生産者と消費者を「つなぐ」フードツーリズム
第15講 食品ロスは豊かさの証し? ─食品の3割は捨てられている
豊かさって何?
世界中の食べ物は潤沢か?
まだ食べられるけどもう食べない ─捨てれば廃棄物
日本の廃棄物政策
食品廃棄物の実態は?
● コラム 食品メーカー、卸、小売店における商慣習
なぜ家庭からの食品廃棄は多い?
「食」の世界と私たち ─皆が食べられる、皆と食べる
補講 高等学校における食教育 ─『食ビ』の種は大学入学前から!!
食育と食教育
高校生と食教育
家庭科と食教育
食ビの『種』を育てよう!
あとがき/参考文献/「食品ビジネス学」キーワード集
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