こんにちは、編集長です。巷はお盆休みですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。地震が起こったりとか、やや不穏な感じではありますが。東名道も全面復旧していませんしね...
さて、開国博Y150のヒルサイドエリア会場で開催されている、「ロボットを創る人-ロボットが好き!-」のトーク&デモステージを見にいってきました。

ヒルサイドエリア会場にある「竹の海原」。この中につながりのステージがあります。会場入口がから見ると、屋根しか見えません。
このイベントは8月12、13、14、16日の4日間行われるもので、5人のロボット研究者が、実物や映像を交えて、ロボット創りの面白さ、楽しさについて語るという内容です。

私の見にいった8月12日は伊能崇雄さん(E-N工房代表、NPO法人国際レスキューシステム研究機構客員研究員)と桑原裕之さん(サスティナブル ロボティクス代表、NPO法人国際レスキューシステム研究機構客員研究員)のお二人の話が伺えました。
ロボット研究者のトークショーだから、ロボット技術の難しい話なのかな?と思うかも知れませんがそんなことはありません。ご自分の経験を交えて、わかりやすく話をしていただけます。
今回の伊能さんと桑原さんは、ロボット研究のなんたるか、というより、もの作りという観点からお話しをしてくださいました。
伊能さんのテーマは「風景を作るロボット」。現在製作中の甲冑魚「プテラスピス」のロボットを題材に、どんなふうにもの作りをすすめているのかというお話しでした。
そもそも、すでに絶滅している甲冑魚を作ろうと思ったのが、あり得ないものがある風景はワクワクする、そんな風景を自分で作りたい、というところからはじまっているそうです。

伊能崇雄さん
すでに絶滅している生物を作る場合は、化石をもとにした想像図が資料になります。ところが、誰も見たことがない生物なので、資料の内容もバラバラで、結局は資料を参考にしつつも、自分で描いてしまうそうです。
それから、検討用の模型を作り(この検討用の模型製作の方法についても説明がありました)、バッテリーや電子回路、モーターを収めるスペースを調べたり、尾ヒレの動きのテストをします。ここでもっと大きくしないと...のような問題点が出てきます。

検討用の模型を説明する伊能さん。ちゃんと尾ヒレの動きもテストできる仕組みになっています。
そこで、博物館に化石を見にいったりして、再度調査、絵の描き直し、模型の作り直しをして、ようやくカタチや大きさが決まってきます。
カタチや大きさが決まれば、バキュームフォームで頭部の成形を行います。バキュームフォーマーは100円ショップで購入した材料で自作可能だそうです。バキュームフォーマーの作り方や、バキュームフォームの方法も説明がありましたよ。
残念ながら、「プテラスピス」ロボットはまだ完成していないので、デモが見られるわけではありません。ただ、検討用の模型やバキュームフォームで作った状態のものは見られます(そしてさわれます)。もの作りに興味のある方はすごく参考になると思いますよ。

頭部はバキュームフォームで作っています。バキュームフォームの方法も説明してくれました。
ちなみに、今後、完成させるためには何を検討しなくてはならないか?というところも踏み込んでいます。胴体の部分はスポンジを使おうとか、鱗は本物を使いたいけどどうするか、とか。
伊能さん、「プテラスピス」ロボットの製作は趣味で行っているそうですが、福島県の「アクアマリンふくしま」まで化石を見にいったり、いろいろ調べたりなど、かなり本気です。ご本人も「本気で遊ぶと面白い。本気で遊んで、いろいろチャレンジしましょう」とメッセージを出されていました。遊びでもなんでも、本気でやると、いろんなことを調べてみたり作ったりとチャレンジしますよね。そのことで新しい発見があるかも知れません。
さて、その次は桑原さんの「森に暮らすロボットを創る楽しさ」をテーマにしたお話しでした。桑原さんは会場でも展示している「森に暮らすロボット-いてくれてありがとう-」でのロボットたちを創る過程を紹介しながら、もの作りについて話をしてくださいました。

桑原裕之さん。司会も兼ねていました。
「森に暮らすロボット」は「あまり役にも立たないけど、邪魔にならないロボットがいたらステキだ」と思って作り始めたそうです。岩のようなカタチをしていますが、かわいらしいロボットです。ステージには足まわりにオムニホイールを使った、全方位移動のできるロボットが登場していました(ステージ終了後には操縦体験もできました!)。



森に暮らすロボットのデモです。脚はオムニホイールを使用していて、全方位移動が可能になっています。
ロボットを作ろう!と思ったらまずは絵を描くそうです。これは伊能さんと同じですね。まずは絵を描きます。研究用ロボットではCADで設計しますが、とりあえずは手描きで十分です。それで設計図を作って、その後は部品を作り、制御回路を作り、動きを作り、カタチを作る。
ここで、技術のある方は部品も回路も自作しますが、桑原さんは「全部自分で作る必要はありません。できることからはじめていけばいいですよ」とおっしゃっていました。各部品も製品化されているものも多いですし、まずは完成品を使って、それから覚えていったものから自作に切り替えていくのが無理もないしいいですよね。
ちなみに、「森に暮らすロボット」のブースでは、草刈りもできるロボットや昼寝中のロボット、水辺にいるロボットなどが展示されています(デモもするそうですよ!)。充電は太陽電池で行うなどの機能を想定しているそうです(実際に太陽電池で充電するロボットもいます)。

「森に暮らすロボット」展示ブースの様子。森のジオラマにロボットたちが展示されています。

草刈りもできるロボット。でもそれは本業ではなくて、のほほーんと庭にいて、ときどき草刈りもしてくれるというコンセプトのロボットです。

水辺のロボット。ひょっとしたら、水辺を移動する姿が見られるかも知れません。
今回のトークショーで登場したロボットは、どれも「役に立つロボットをつくろう!」と思って創られたものではありません。でも、もの作りのきっかけは「これってつくったら面白いかも」と思ったことだったりします。その「面白いかも」を実現していく過程の楽しさが伝わる内容でした。
難しい技術的な内容にはあまり触れていませんので、子どもでも楽しく聞けるトークショーだと思います。8月14日(金)と16日(日)には他の研究者のかたが登場するので、また違った話が聞けると思います。ロボットだけではなく、もの作りの参考になる内容も多いので、興味のある方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
ヒルサイドエリア会場は緑が多く、広い公園みたいな感じで、なんだかのんびりしてしまいました。ズーラシアに隣接していますし、動物園を見てロボットも見るのも良いかもしれませんね。
なお、具体的なスケジュールは以下の通りです。
8月14日(金)12:45-14:50
太田祐介氏(千葉工業大学工学部未来ロボティクス学科 准教授)
「ヒト・モノを運ぶロボット」
遠藤 玄氏(東京工業大学大学院 理工学研究科 機械宇宙システム専攻 助教)
「ローラースケートするロボット!?」
桑原裕之氏(サスティナブル ロボティクス代表、NPO法人国際レスキューシステム研究機構客員研究員)
「森に暮らすロボットを創る楽しさ」
8月16日(日) 11:45-14:05
遠藤 玄氏(東京工業大学大学院 理工学研究科 機械宇宙システム専攻 助教)
「ローラースケートするロボット!?」
山田浩也氏(東京工業大学 グローバルエッジ研究院 ティニュア・トラック助教)
「ヘビ型ロボットのはなし」
桑原裕之氏(サスティナブル ロボティクス代表、NPO法人国際レスキューシステム研究機構客員研究員)
「森に暮らすロボットを創る楽しさ」
会場:開国博Y150 ヒルサイドエリア つながりのステージ
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