2015年12月バックナンバー

12月10日(木)に東京電機大学 東京千住キャンパスで「重量挙げロボット大会」が開催された。これは工学部機械工学科先端機械コースの「ワークショップII」の一環として行われるもので、参加するのは約100名の1年生。3?4人を1チームとして、30チームが参加した。出場するロボットは授業の中で製作されるものだが、機体は段ボールで、電源は単三乾電池1個と決まっている。モーターも共通のものを使用する(ただし、ギアの減速比については各チームごと、ロボットのコンセプトによって変わる)。そのほかの部品は申請して購入している(ただし、使用できる部品はある程度決まっており、リストの中から選ぶことになる)。各チームは最初に、タスクを実現するためのロボットのアイデアを出し、ロボットを設計する。設計が完了すると、部品を選んで申請し、製作にかかるとのことだ。
この大会でのタスクは、バーベルを500mm以上持ち上げること。毎年、大会の運営は学生の皆さんに任されており、前述のタスクは変わらないが、細かいルールが年ごとに異なる。今年の大会は「重いおもりを持ち上げたほうが優秀である」というコンセプトで、より重いおもりを、より早く500mm以上持ち上げたほうが上位となる。
予選は全チーム参加となるが、持ち上げるおもりは1kgのチームもあれば、2kgのチームもある。競技時間は10分間。持ち上げたおもりの重さと、500mm以上まで持ち上げるのにかかった時間を計測する。上位14チームが決勝に出場できる。

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重量挙げロボット大会の会場。1回の競技で6班ずつ行う。長い定規を持っているのが審判で、ロボットがおもりを持ち上げた際に高さを測る。


ロボットの機体そのものが段ボールでできているため、持ち上げる途中でアームが曲がってしまったり、そもそも持ち上げられないロボットもある。その一方で、楽に持ち上げるロボットもある。このワークショップを担当している先生方は、ロボットを製作する間はヒントを出すことはあまりしないそうだ。大会後の授業で報告会を行い、その際に各ロボットに対する講評を行い、構造の良し悪しを指摘するそうだ。
予選で500mm以上持ち上げることができたチームは18チーム。これは例年よりも多いそうだ。今回は大会前に先生方による審査を入れたこと、いつもは5分間が多い競技時間を10分間にしたことが要因になっているとも考えられるそうだが、見守っていた先生方も驚いていた。

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「おもりを持ち上げる」というタスクをこなすロボットを製作するが、各班によってロボットの形はさまざまだ

そのうちの14チームが決勝に進むが、決勝ではもっと重いおもりに挑戦するチームが多い。持ち上げるおもりの重さは自己申告制なので、それぞれのチームの方針が出るのだと思うが、一番軽いおもりで、2kgを選んだチームは1チーム。もっとも重いおもりを選んだのは22班で6kgだった。しかし、22班は6kgを持ち上げることができず、優勝したのは5kgを530mmまで437秒で持ち上げた8班が優勝した。2位は同じ5kgを505mmまで、445秒で持ち上げた16班。3位は4kgを500mmまで、314秒で上げた27班だった。

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決勝ともなると、予選より重いおもりに挑戦するが、おもりではなく本体が持ち上がってしまうロボットも。その一方で、確実におもりを持ち上げるロボットもいる。

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壊れてしまうロボットも...

優勝した8班のロボットは、重いおもりを持ち上げるため、頑丈さを追求したそうだ。木組を参考にしたとのことで、ボールで細い棒と太い棒の2種類作り、それを組み合わせてロボットを本体を構成している。おもりを持ち上げるアームのある前方は、足回りが長めになっており、重いおもりを持ち上げても踏ん張れるような構造となっていた。
8班のロボットは、決勝の後にエキシビションとして、さらに重い9kgのおもりに挑戦し、見事に持ち上げていた。

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9kgのおもりの持ち上げに成功した8班のロボット。

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8班のロボットのおもりを持ち上げるアームの部分。太さの違う2種類の棒を段ボールで作り、組み合わせている。精度よく、早く作る必要があったので、試作品を作って一番良いものを採用したそう。

超小型衛星を活用したソリューションの提案等を行っている株式会社アクセルスペースは、12月10日に地球観測画像データのプラットフォーム「AxelGlobe」を発表した。「AxelGlobe」では、アクセルスペースが整備する超小型衛星群によって地球の全陸地の約半分を毎日撮影し、画像データを蓄積して過去から現在にわたるデータを分析することで、未来予測につなげていくことを目指す。さらに、自社衛星画像だけでなく、オープンプラットフォームとして、航空写真などの精度の異なる画像データ、気象などの非画像データとの組合せによる広範な解析基盤を実現するとともに、データにアクセスするAPIを公開し、様々な事業者が独自のアプリケーションを開発できる体制を整えて、衛星データのビジネス活用を広げていくことも目指す。
具体的には、「AxelGlobe」のための画像を取得する超小型衛星「GRUS(グルース)」を2017年から2022年にかけて50機を打上げる予定。その第一弾として、2017年に3機の打上げを予定している。
超小型衛星を50機あげることで、地球上の全陸地の半分をカバーできる。陸地の半分というと不十分なように聞こえるが、実際には人間が経済活動を行っている部分はほとんどカバーできる。人間が経済活動を行っているほぼすべての部分を毎日更新するところがポイントとなる。「GRUS」というの名前はつる座を意味する英語であり、鶴の群れのように複数機が協調しつつ、軌道上を周回するイメージで名づけられている。

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「AxelGlobe」のための地球観測用超小型衛星「GRUS」。
(画像提供:アクセルスペース株式会社)

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「GRUS」が50機配置された状態(イメージ)
(画像提供:アクセルスペース株式会社)

「GRUS」は大きさが60×60×80cmで質量が80kg、地上分解能は2.5m、撮影幅は57km。同社が開発に参加した「ほどよし1号機」(2014年11月打上げ)が質量が60kgで、地上分解能が6.7m、撮影幅は28kmなので、大型化はしているが、地上分解能が上がり、撮影範囲が広くなっている。
地上分解能が2.5mというのは車1台が見分けられる程度の画像である。2.5mにしたのも理由がある。一般的な地球観測衛星は、分解能が1mと、精度の高いところを目指すことが多いが、コストがかかる。提供するサービスにもコスト高が影響するが、高い費用で衛星の撮影データを使おうと考えるユーザーは限られる。また、細かいところまで見ようとすると、撮影幅が狭くなり、衛星の機数がもっと必要になるうえに、あまり細かいところまで撮影すると、プライバシーの問題が生じたり、法的に公開不可能になる場合もある、というリスクが発生する。それに、アメリカの新興メーカーが多く参入してきている分野でもあり、ライバルが多いという問題もある。
一方で、分解能5mとした場合、都市部の解析には解像度が不足しており、用途が大規模農業等に絞られるてしまう、また、アメリカの地球観測衛星「LandSat」、EU・ESAの地球観測衛星「Sentinel」等が無料で画像の提供を始めており、それらとの競争になると利益の確保が難しい。それゆえに2.5mの分解能を選んだという。

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超小型衛星「GRUS」と中村氏

しかし、衛星のハードウェアそのものが重要なのではなく、「AxelGlobe」の本質は情報プラットフォームである、と株式会社アクセルスペース 代表取締役の中村友哉氏は言う。50機の衛星が毎日集めてくる全地球情報に価値があり、その情報の蓄積によって、過去から現在までの小さな変化を見つけることができるため、トレンドを見ることで未来を予測できると考えているそうだ。
この情報プラットフォームを普及させるためのカギとなるのが、オープンであることだと考えているそうだ。同社としては最終的には50機の衛星を打ち上げる予定だが、その衛星からの情報だけでなく、他の衛星や、ドローン、地上の各種センサーのデータをプラットフォームに取り込み、組み合わせることによってユーザーのニーズに合ったサービスを提供したいと考えているとのこと。また、APIを公開し、「AxelGlobe」の情報を使って独自にサービスを提供する事業者を招き入れたいそうだ。中村氏は、衛星ビジネス分野のAppleになりたいと語った。たとえると、衛星群はiPhoneで、情報解析基盤はOSのようなもの。そこに、たくさんのアプリの開発業者が参入することで、エコシステムを構成していきたいとのことだ。


市場規模としては、現在の衛星画像の市場は2000億円程度とみられており、今後広がっていきそうだが、規模としては小さい。しかし、中村氏はその背後にあるアプリケーション市場を狙っており、精密農業の分野でも2280億円と衛星画像の市場を超えており、農業全体や石油、天然ガス施設の投資額や、森林の経済基盤になると兆の単位となる。それらの分野すべてに衛星画像が利用できるわけではないが、一部は衛星画像を使って新たな価値を生むことができるのではと考えているそうだ。
現在考えられている応用分野としては、まずは精密農業が考えられている。衛星画像を解析することで収穫高の予測、施肥量の決定、最適収穫時期を予測する。特に、畑の面積が広い海外での需要が旺盛とのことだ。
2つ目は産業情報、いわゆるビジネスインテリジェンスへの応用だ。物流や貿易の状況を把握したり、経済指標からトレンドを推定し、マーケティングへの応用が考えられている。


地球観測用超小型衛星「GRUS」は、上記のとおり2017年に3機を打上げる予定だ。現在はテストモデルが完成しており、2016年の前半にはエンジニアリングモデル、そのあとにフライングモデルの製造を開始する予定としてる。3機打上げた段階で、限定的だが観測を開始する予定にしており、2022年までには50機の配置を完了して、全球の毎日観測を実現するとしている。また、複数の衛星を同時に運用していくためのシステムも開発する必要があるが、ほどよし1号機で完全自動化を目指したシステム開発を実施しており、これを拡張することで適用する。これにより、コマンドの生成、アップリンク、ダウンリンクを自動化するだけでなく、得られた画像の処理やプロダクト生成、エンドユーザーへのデリバリーまで含めて完全に自動化ができるという。
画像を利用したアプリケーションの開発については、現在は必要な基盤技術の特定を行い、開発の方向性を定めたところとのこと。既存の衛星の画像も利用して、2017年の「GRUS」3機の打上げまでの間に目途を付ける予定。


この50機の打上げだが、すべての衛星をアクセルスペースで製作しなくてもよいと考えているそうだ。超小型衛星の所有や利用に関心を持っている新興国も多く、そのような国とのジョイントプロジェクトで機数を増やすことも想定している。「AxelGlobe」に参加して、衛星を相互に利用することで、1機だけで運用するよりも多くの情報が入手できるためメリットは大きいと考えられる。アクセルスペースとしてもそのようなプランを提案していきたいとしている。


なお、「GRUS」3機の打上げに際して、11月までにシリーズA投資ラウンドにおいて総額19億円の資金を調達している。また、スカパーJSAT株式会社三井物産株式会社株式会社ウェザーニューズとは業務提携に向けた覚書を締結している。


また、発表会では「宇宙を活用したビジネス展開」というテーマでパネルディスカッションも行われた。登壇したのは中村氏のほか、グローバル・ブレイン株式会社 インキュベーション事業部の青木英剛氏、スカパーJSAT株式会社 執行役員 経営管理部門経営戦略本部の小川正人氏、株式会社ウェザーニューズ 執行役員の山本雅也氏がパネリスト、東京大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻の中須賀真一教授をモデレータとしていた。
パネルディスカッションでは超小型衛星の可能性や、宇宙ビジネスを実現するために必要なものについてなどのテーマで議論が行われた。スカパーJSATもウェザーニューズも自社で衛星を所有し、運用しているが、アクセルスペースと提携することで、活用できる情報も増えるため、新しいサービスも考えられるとのことだ。
また、宇宙ビジネスを実現するためにはどのようなイメージを持ったほうがよいか、という問いかけには、むしろ自由な発想で始めてほしいと中村氏は語った。自由な発想で思いついたことが未来のメリットにつながるかも知れないと考えているそうだ。
その一方で、アメリカでは民間の投資で民間の企業が宇宙利用のサービスをはじめており、国がそのサービスを買うというステージに入っているという。しかし、日本では国が民間企業に投資をするというステージで、一部で民間からの投資で民間の企業がサービスをはじめたか、の段階だという指摘が中須賀教授よりあった。今後、日本では国が民間企業に投資をしつつ、海外へ衛星などのサービスを販売していくことで民間企業の力を高めると同時に、新しい企業などをさらに活性化させ、大きな産業としていくことを考えていきたいと締めくくった。

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パネルディスカッションに参加された方々。左から東京大学の中須賀真一教授、グローバル・ブレイン株式会社の青木英剛氏、株式会社アクセルスペースの中村友哉氏、スカパーJSAT株式会社の小川正人氏、株式会社ウェザーニューズの山本雅也氏。




ROBOCON Magazine 2016年1月号
■定価:1,080円(本体1,000円+税)
■判型:A4変形判 130頁
■発売日:2015年12月15日
■雑誌09761

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表紙のロボット:安川電機本社、ロボット工場内にある"ロボットをつくるロボット"
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2015年11月28日、ベルサーレ新宿にて、Pepperを活用した家庭用ロボットアプリケーションの最優秀作品を決定する「Pepper app challenge 2015 Winter」、ビジネスシーンにおけるPepperの活用事例を競う「Pepper innovation challenge 2015」が開催された。Pepper app challengeは今年2月にも行われ今回が2回目の開催となる。アプリケーションは事前に決勝進出のための審査が行われており、当日は決勝に進出したそれぞれ10チームのアプリケーションのデモ展示・プレゼンテーションが行われた。審査員と一般来場者による投票で最優秀賞が決められた。

最優秀賞となったチームは、Pepperの貸し出しなどソフトバンクロボティクス株式会社による支援を受けることができる。またベストエンターテイメント賞などカテゴリーに応じた賞もあり、こちらも支援を受けることができる。

他のメディアでも多く取り上げられているので、ここでは編集部が注目したプロジェクトに絞ってリポートする。

公式ホームページ

当日のようすはUstreamで見ることができる


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会場内にはPepperがあっちこっちにおり、入り口でもPepperが出迎えてくれる


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司会の長谷川杏里さん(一番左)と審査員のみなさん。審査員は左からテリー伊藤氏、森川亮氏、塩田 結以氏、蓮実一隆氏、ショーン・マクアードル川上氏、清水周一氏、富坂美織氏、吉田健一氏の豪華メンバー


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challengeの受賞チーム集合写真。app challenge最優秀賞には100万円が、innovation challenge最優秀賞にはPepper for bizの3年間無償貸与が贈られた


Pepper app challenge 2015 Winter

Pepper app challengeは、日常に根ざした家庭用アプリケーションのコンテスト。Pepperと人との共同生活を目指し、コミュニケーションロボットとしての能力を生かしたアプリケーションに賞が贈られる。 発表にも、こちらの都合に関係なくPepperが英語で話しかけてくる英語教育アプリ「Pepperがホームステイにやってきた【仮想英語環境構築アプリ】」(株式会社ジーアングル)やPepperの紙芝居がスマホでつくれる「かたりべ」(超技研@アップフロンティア)、PepperとSNSでコミュニーケーションできる「Palsbots」(パルスボッツ)など、未来の日常を感じさせるアプリケーションが目立った。

Pepper app Challlenge 2015 Winter受賞チーム
アプリケーション名称 チーム名
最優秀賞 HUG -バーチャルリアリティコミュニケーション- HUG PROJECT
ベストインタラクション賞 Pepperがホームステイにやってきた【仮想英語環境構築アプリ】 株式会社ジーアングル
ベストエンターテイメント賞 かたりべ 超技研@アップフロンティア
ベストライフスタイル賞 ペッパーソナル・トレーナー BOB
ベスト介護福祉賞 HUG -バーチャルリアリティコミュニケーション- HUG PROJECT


HUG -バーチャルリアリティコミュニケーション

最優秀賞とベスト介護福祉賞をダブル受賞した「HUG -バーチャルリアリティコミュニケーション」(HUG PROJECT)は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やKinectを使って遠距離にいるPepperと視界や動作を共有し、遠く離れた人とコミュニケーションがとれるアプリケーション。

「寝たきりの祖母に、なんとかして結婚式に参加もらいたい」そんな思いから生まれたHUGは、高齢化社会を迎えたわれわれの社会に新しい幸せを呈示する。

今後、大容量高速のネットワークや自動翻訳技術が進めば、事故や病気でたとえ歩けなくなったとしても、海外に設置されたPepperにログインし、仮想的に旅行するといったことができるようになるかもしれない。自動翻訳もできるようになれば完璧だ。ロボットの可能性は無限大だということを感じさせた。

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HMDを通してPepperの視界を見ることができる


Pepperがホームステイにやってきた

音楽・映像・画像などを制作する株式会社ジーアングルの開発した「Pepperがホームステイにやってきた」はPepperによる英語教育アプリケーション。ベストインタラクション賞を受賞した。とある調査によると英語が身につかない一番の理由は、自身が英語環境にないことだという。対称的に一番の英語勉強は、海外に行くなどして英語がいやでも聞こえてくるような、英語が必須な環境に身をおくことだそう。

本アプリケーションは、Pepperと顔を合わせると自動的に英語学習がはじまる。時を選ばず、こちらの都合を考えずにPepperが英語で話しかけてくるので、いやでも英語を使わないといけない環境に身を置かれるというわけだ。タブレットには英会話の内容が表示されているので、リーディングの学習もできるという。

従来の自己学習は自分でやる気をだして始めないと始まらないが、このアプリはPepperが勝手に話しかけてくるので強制的に学習がはじまる。「継続は力なり」だが、なかなか根気が続かないもの。Pepperが資格試験の問題を突然出してくるアプリケーションがあれば筆者も資格取得ができるかもしれない。

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アプリのポイント。Pepperは常に勉強の機会をうかがっている


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Pepperのタブレットに英語が表示されている


かたりべ

アップフロント社の社員チーム「超技研」が開発した紙芝居アプリケーションで、紙芝居やSS(ショートショート)のストーリーをつくり、それをPepperが紙芝居してくれるというもの。動き(モーション)や音、紙芝居なのでもちろんイラストも設定できる。使う素材には、アプリに登録されたデフォルトのものが用意されているが、カメラで撮った写真やボイスレコーダーで録音した音も使うことができる。 プレゼンテーションにはやや失敗し、テリー伊藤氏には「プレゼンが下手だが技術はすごい!」と強調され、会場に笑いが起きた。

紙芝居は一時停止もできるので、止めているあいだに保母さんが「この後どうなるのかな」などと児童に聞くことなどもでき、保育園などでの活用が考えられるという。 将来的にはPepperによる紙芝居的な学習講座やプレゼンをつくることも可能に思われた。

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Pepperのタブレットに浦島太郎のスライドが表示されている


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用意されたアイテムを組み合わせて紙芝居をつくる


Palsbots

パルスボッツ「Palsbots」はPepperとの会話がグループSNSにアップされる新時代のSNS。Pepperは前にした会話を覚えていて、徐々に学習していく。Pepperどうしが会話をすることもあり、これも反映されるそうでなかなか面白い。 仲間たちとのグループチャットにPepperが介入してくる新未来はすぐそこと感じられた。

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右奥のモニタにチャットのようすが表示されている。写真はPepperの視界だ


Pepper innovation challenge

Pepper innovation challengeは、Pepperのビジネスでの活用事例を競うアプリケーションのコンテスト。オフィスや一般商店、介護施設など、さまざまな場所を舞台としてPepperを活躍させたアプリケーションに賞が贈られる。 脳トレや介護施設での活用、顧客来社時の受付(電話)、デジタルサイネージなど、まさにビジネスといった活用事例が目立った。双方向性を意識したアプリケーションが多く、顧客との円滑なコミュニーケーションを確立するために役立てられている。

Pepper innovation challenge 2015 受賞チーム
アプリケーション名称 チーム名
最優秀賞 いきいき脳体操 Team Smart Brain
ベスト接客ビジネス賞 待ちの不満を解決する受付管理アプリAirウェイト Airウェイト
ベストヘルスケアビジネス賞 介護施設向けJOYSOUNDペッパーアプリ TEAM JOYSOUND
ベスト顧客体験賞 ペパ電 for Biz フューブライト・コミュニケーションズ株式会社
ベストテクノロジー賞 店頭向けデジタルサイネージアプリ Vipper チームエビリー


介護施設向けJOYSOUNDペッパーアプリ

最優秀賞を受賞した「いきいき脳体操」(Team Smart Brain)と同じように、今後の高齢化社会を見据えてPepperの介護施設での活用を模索したアプリケーション。 本アプリは、現在はインストラクターが行っている体操や歌などのレクリエーション作業をPepperが代行してくれるといったもの。

実際に介護施設などにPepperを連れて行ったところ、高齢者は非常によろこんでくれ感情移入してくれたそうだ。

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Pepperがいっしょに歌ったり踊ってたりしてくれる


ペパ電 for Bizz

「ペパ電 for Bizz」はPepperを電話にできるアプリケーション。IP電話にも対応しており、オフィスの受付などに活用できる。

特徴としてはPepperが『ちょっとお節介をしてくれる』ことで、受付に訪れた人が呼び出した相手を呼びだしている間に、「○○は今月の営業成績が悪くて...」といったいいづらい本音や「娘さんの誕生日プレゼントを探しているらしいよ」といったちょっとした話題などをPepperが話してくれる。するとその後の商談がスムースに進むという。

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Pepperが会社の受付になる時代がくる?


Pepperのディベロッパー向けサポート

当日はソフトバンクロボティクス株式会社 事業推進本部 本部長の吉田健一氏によるPepperのディベロッパー向けのサポートについても発表があった。報道資料に詳しいが、なかなかSoftbankの本気を感じさせる内容となっていると感じられた。ここでは当日のスライドとともに発表を振り返ろう。

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Pepperパートナープログラムの発表。Pepper for bizの開発者向けサポートでアプリ開発、コンサルティング、UXデザインの3つを上げた。アプリ開発サポートは12月から開始する

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パートナーになるための認定プロセス。実技と筆記の試験があり、認定を受けたパートナーはSoftbankがアプリケーションのクォリティを保証する。すでに200社以上がエントリーし、60社が認定を受けているとのことだ。パートナーになると3つの技術サポート、3つの事業サポートを受けることができる

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技術サポートの1つ目は12月から開始するテクニカルサポート。チケット性の技術的なサポートだ

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トレーニングや支援ツールのサポートでは、ライブラリや導入環境の調査シートといったものが提供される

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ロボアプリの安全性審査のサポート。この審査を受けることでPepper fo bizの基本プランの保証に故障がサポートされ、アプリケーション起因によるPepper故障などの場合もSoftbankのサポートを受けることができる

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Pepperアプリの開発案件紹介サポート。Softbankが吸い上げた顧客ニーズとディベロッパー間のマッチングをSoftbankが提供するといったもの

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作成したアプリケーションを顧客に販売する法人向けアプリストア「For Bizアプリストア」の開設。Softbankが選定したアプリケーションをストアで販売する。ライセンスビジネスなども活用できる。課金やプロモーションなどもSoftbankが担当する

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Softbankによる販売促進支援プログラム。年明け以降、アプリケーションをPRするさまざまな展示会やセミナーを企画しているという

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「Pepperアトリエ サテライト」として、Softbankの認定を受けることで日本全国の団体、個人、企業がアトリエを開設することができるしくみを提供する。ヤマハの音楽教室を参考にし、あちこちにロボット教室を展開することで、ロボットが一家に一台を目指すという。すでにいくつかの企業と協業を始めており、12月に8拠点がオープン、2016年中に50拠点を目指すという。サテライトとなる場合には特典として、公式のステッカーやPepperグッズの利用、「Pepperアトリエ秋葉原」のノウハウの提供、ワークショップのPRのサポートなどを受けることができる

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「ロボアプリLab」はKickstarterのようなしくみでクリエータとユーザとの架け橋を提供する。投票により人気の高いものを開発。開発したアプリはPepperの基本アプリケーションとして搭載され、Softbankからライセンス支払いを受けることができる


ディベロッパー懇親会

盛り上がりを見せたchallengeの授賞式の後には開発者をまじえた懇親会が行われた。懇親会では食事が振る舞われ、発表までとは打って変わって大分ゆるい空気に。はじめにソフトバンクロボティクス株式会社取締役の蓮実一隆氏による挨拶と乾杯の音頭があった。

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しばしの歓談ののち、「共創のまち・肝付」プロジェクトを主催する株式会社たからのやまの奥田さんが登壇。高齢者の声、地域住民の声を聞き、開発者とユーザ、一般の方がいっしょに開発を行うプロジェクトについてスピーチがあった。製品を市場にドロップして反応を見るのではダメで、高齢者の方などが本当に必要とするものを吸い上げて開発を行うことが重要と強調した。

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株式会社たからのやまの奥田さん


続いて、ロボットスタート株式会社の北構武憲氏により、Pepper app challenge、innovation challengeそれぞれの受賞者へのインタビューが行われた。

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最優秀賞を受賞したチームへのインタビュアーとして登壇したロボットスタートの北構武憲氏。


Pepper app challengeの最優秀賞「HUG -バーチャルリアリティコミュニケーション」(HUG PROJECT)。

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「いけるかもというのはあったが、その次の日にはこれはもう無理かもといった絶望と希望の繰り返しだった。開発はSkypeでコミュニケーションし、それぞれが作ってきたものをつなげてガッチャンコした。ただ、実際に物を動かさないといけないのでアトリエ秋葉原を有効活用した」


Pepper innovation challengeの最優秀賞「いきいき脳体操」(Team Smart Brain)のお二人。

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「(仙台放送の)番組は日本国内と海外で放送しているが、お年寄りがそれをみるとは限らない。まして施設にいる方は自分にチャンネル権があるわけでもない。そういったことからだいぶ前からテレビのコンテンツを、お年寄り向けのゲームにできないかとは考えていた。国際福祉機器展でそういったコンテンツを発表したところPepperと出会って、そこから急速にこの世界に足を踏み入れた」

「ロボットのアプリケーションは現場で実際に動作して見えるので作る側として非常にモチベーションになった。楽しみに来てくれる方にちゃんとエンターテインメントを届けたい」


懇親会の最後にはTシャツやPepperの危機一髪がもらえるじゃんけん大会が行われ、盛り上がりのうちに懇親会は閉幕した。




懇親会中にソフトバンクロボティクス株式会社 事業推進本部 本部長の吉田健一氏にお話しをうかがうことができたので、本記事の終わりに紹介したい。


―今回の受賞には介護福祉や学習が目立ちましたが、これについてどのように考えていますか。

(介護福祉や学習といった分野は)道のりが長いと考えています。今回は最優秀賞ではなかったですが、小売りや接客といったものはすでにできあがっていると考えています。今後も投資して、つくっていかなければいけない分野として介護や教育だったりが注目されてきていると考えています。

―Pepperのコミュニケーションを活用したアプリが多かったと思いますが、これをeコマースに生かし、分析やデータ解析を行っていくといった話がありました。これらは最近はやりの機械学習など難しい処理だと思います。他社はソフトウェア会社と組んで、環境を提供するなどしていますがソフトバンクとしてはどのように考えているのでしょうか。

学習で大事なのはアウトプットの処理よりも認識だと考えています。ロボットならではの「近くに人がいます」「この人は男性です」「この人とはこんな話としました」といった認識さえできてしまえば、ディープラーニングのような話ではなく、if thenで問題ありません。認識ができるかどうかが今までの課題だったわけです。その認識がこれまでより格段にできるようになった。ウェブはクリックだけですが、Pepperなら何でも(データを)取れる。直接聞いて、取ることもできます。その後の学習は今日来ていただいているパートナーの皆さんが実現してくれると考えています。

―小型のPepperというは考えているのでしょうか。

将来的にでてくる可能性は否定はしません。ですが、最初になぜあの大きさが必要だったかというと、人間が生き物として認識できるかどうかにこだわっていたからです。小さいとおもちゃだと思ってしまいます。この大きさのPepperが話しかけてくると「おおっ」となるのです。あの大きさのインパクトがあります。

―今後の展開を教えてください。

法人のほうはすぐに使えるレベルになっています。あとは現場でどうイノベーションが起きるかが勝負で、すごく楽しみにしています。個人のほうは、まだあと三段階は必要だと考えています。今日発表したアトリエだったりLabだったりで新しいものがでてきて、お客様を巻き込んでいけるかだと思っています。

―本日はありがとうございました。




大分長い記事となってしまったが会場の雰囲気がつかめただろうか。両challengeは一般の方でも観覧できるイベントであるので、興味をもたれた読者は次回ぜひ参加し、ロボットと人間が共生する社会を感じてほしい。

株式会社日立パワーソリューションズトライエンジニアリング株式会社は、接合品質に優れた摩擦撹拌接合(Friction Stir Welding:FSW)を行うロボット(以下、ロボットFSW)共同で開発し、11月25日に記者発表を行った。
今回発表されたのは、薄肉接合に特化した、200kg可搬クラスロボットを採用したシステム。トライエンジニアリングのロボットヘミングシステム(RHS)とロボットマニシングシステム(RMS)および日立パワーソリューションズのFSW特許技術との融合によって実現させたものである。なお、ここで採用したロボットは、株式会社安川電機のロボットを採用している。

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ロボットFSWの本体システム。ロボットは安川電機の「MOTOMAN-MH225」を採用。

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ロボットのヘッド部分がFSWのマシン部分。先端にスピンドル部分、カバーされている上のほうが加圧制御部分。回転部分はインバーター制御で、加圧部分はサーボモーターが担う。

FSWとは、接合ツールと呼ばれる円柱状工具を回転させながら、接合される材料間の、所定の深さまでツール先端の突起を挿入、接合線に沿って移動させて接合する方法。接合ツール周辺の材料は、ツールと材料間で発生する摩擦熱および加工熱によって軟化し、回転によって撹拌されて、固相接合(接合される材料を溶融することなく、固体の状態のまま加熱して軟化させて、加圧して塑性変形を与えて接合する工法)される。アーク溶接のような溶融溶接に比べると、熱によるひずみや溶接不良も少なく、異種材料の混合が可能というメリットがある。アルミ材の板を突き合せたり、重ね合わせての接合や、円筒や曲面の突き合せての接合などができる。

RHSは、自動車のドア等の部品外周部に施工されるヘミング加工用のロボットシステム。従来はプレス機で曲げ加工をしていたが、このシステムはロボットの先端にあるローラーを転がすことで、曲げ加工を行う。

ロボットFSWは両社が持つこれらの技術を融合させて開発されたものである。
トライエンジニアリングのRHSでは、先端のローラーを押し込む動作を、専用のサーボモーターによって押し込んでいる。ロボットはその反力に耐えながら加工する仕組みになっている。多関節ロボットは、外力が加わるとたわんで逃げてしまう。そのたわんで逃げた量の補正をかけて、反力を一定にしたまま加工を行うというノウハウがある。RMSは、先端にロボット専用に開発したスピンドルモータを付けて切削加工を行う。ここではインバータ制御をしており、ロボット制御盤から直接インバータ制御をして、インバータ側からのフィードバックをロボット側で受けて、リニアにロボット制御盤とロボットとインバータのコントロールをしている。FSWの加工をするうえで一番需要な、接合ツールを回転させて、材料に押し込むという動作にこれらの技術が生かされている。

なお、今回発表されたロボットFSWは、アルミニウムなどの薄肉(最大2mmくらいまで)材料接合に特化したものとなっている。採用しているロボットは自動車メーカーなどで多く使われている200kg可搬クラスのもので、省スペースで低コスト、高い汎用性を実現している。先端ツールは自動で交換できるので、バリ除去加工や、切削加工も対応できる。また、複数のロボットを接地することで、同時に複数個所を加工することも可能である。

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アルミ材の板を突き合せて接合するデモを行った。FSWの利点として、接合強度が高く、接合変形や内部欠陥が少ない接合が可能。

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直線だけでなく、曲線での接合も可能

ロボットFSWの開発は、2014年11月にプロトタイプ0号機の実証実験が成功したことで、2015年5月に共同開発契約を締結、初号機の設計製作を開始したそうだ。11月に完成し、今回の発表に至る。販売開始は2016年の4月を予定しており、日立パワーソリューションズの商品として販売される。主な対象としては、自動車関連メーカーやアルミ製品メーカーで、薄肉材料接合に特化したのは、対象としている自動車分野では軽量化が求められており、さらに燃費向上を目指してアルミ材の採用も拡大していることもあるようだ。

なお、ロボットFSWは、12月2日から5日まで、東京ビッグサイトで開催される「2015国際ロボット展」の安川電機SI展示ブースで展示される。デモンストレーションも行われる。

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