内容紹介
従来のコンピュータシステムの視点から量子コンピュータシステムをとらえた他に例をみない解説書.実用化に向けて急速に進化する量子コンピュータシステムの全容と課題がわかる.
本書は,従来のコンピュータシステムの視点から量子コンピュータシステムをとらえた,他に例をみない解説書です.本書の著者の1人のFrederic T. Chong氏は,コンピュータアーキテクチャの世界的な研究者でありながら,いち早く量子コンピュータシステムの研究に取り組み,多くの先駆的な成果を上げており,その知見を活かして,現在のノイズのある量子コンピュータシステムの全容と課題を本書にコンパクトにまとめています.
また,多種多様な観点より参考文献が豊富にあげられており,本書で量子コンピュータの現在の全体像を押さえ,必要に応じて参考文献を頼りに深掘りしていくことで,これからの量子コンピュータの研究開発者に求められる素養が身につけることができます.
黎明期とはいえ,量子コンピュータは実用化に向けて急速に進化しており,これから量子コンピュータにかかわる研究者,技術者,学生にとってエキサイティングな時代が到来することは間違いありません.従来のコンピュータがたどった経緯を振り返れば,量子コンピュータの黎明期にあたるいまこそ,その基礎固めに最適な時期といえます.ぜひ本書を一読してみてください.
このような方におすすめ
システムエンジニアリング、情報工学の若手技術者・研究者
情報工学系の大学院生
目次
主要目次
第I部 量子コンピュータの基礎
第1章 量子計算の起源と現在
第2章 量子計算と古典計算
第3章 量子アルゴリズムとアプリケーション
第II部 量子コンピュータシステム
第4章 量子コンピュータシステムの最適化
第5章 量子プログラミング言語
第6章 量子回路の合成とコンパイル
第7章 マイクロアーキテクチャとパルスコンパイル
第8章 ノイズ緩和と誤り訂正
第9章 量子計算の古典シミュレーション
第10章 量子コンピュータシステムのこれから
詳細目次
第I部 量子コンピュータの基礎
第1章 量子計算の起源と現在
1.1 量子コンピュータの誕生
1.2 量子計算のモデル
1.3 古典計算のためのQPU
1.4 量子技術
1.5 量子コンピュータのロードマップ
第2章 量子計算と古典計算
2.1 古典ビットと量子ビット
2.2 量子計算の基本原理
2.3 ノイズのある量子系
2.4 量子ビットの実装の手引き
第3章 量子アルゴリズムとアプリケーション
3.1 量子アルゴリズムの一般的な性質
3.2 ゲートベースの量子アルゴリズム
3.3 変分量子アルゴリズム
3.4 本章のまとめと今後の展望
第II部 量子コンピュータシステム
第4章 量子コンピュータシステムの最適化
4.1 量子コンピュータシステムの構造
4.2 量子?古典のハイブリッドなコプロセッシング
4.3 量子コンパイラ
4.4 NISQマシンと誤り耐性量子コンピュータの比較
第5章 量子プログラミング言語
5.1 低水準量子プログラミング言語
5.2 高水準量子プログラミング言語
5.3 量子プログラムのデバッグと検証
5.4 本章のまとめと今後の展望
第6章 量子回路の合成とコンパイル
6.1 量子回路の合成
6.2 量子コンパイラの最適化
6.3 ゲートスケジューリングと並列性
6.4 量子ビットのマッピングと再利用
6.5 本章のまとめと今後の展望
第7章 マイクロアーキテクチャとパルスコンパイル
7.1 ゲートからパルスへの変換
7.2 量子ビットの制御とパルス整形
7.3 量子最適制御
7.4 本章のまとめと今後の展望
第8章 ノイズ緩和と誤り訂正
8.1 ノイズの特徴付け
8.2 ノイズ緩和
8.3 量子誤り訂正
8.4 本章のまとめと今後の展望
第9章 量子計算の古典シミュレーション
9.1 強いシミュレーション/弱いシミュレーション
9.2 密度行列を用いた古典シミュレーション
9.3 スタビライザ形式を用いた古典シミュレーション
9.4 グラフモデルとテンソルネットワーク
9.5 本章のまとめと今後の展望
第10章 量子コンピュータシステムのこれから
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