内容紹介
医薬・農薬として有用な化合物の発見・実用化のエッセンスがわかる本
本書は、ケミカルバイオロジーにおいて、有用な働きを持つ各化合物について、由来、精製・合成方法、化学構造、生物活性・機能を簡潔にまとめたものです。学界と産業界の委員によって構成される「日本におけるケミカルバイオロジーの新展開 第189委員会」のメンバーが中心となっています。
ケミカルバイオロジーの研究成果は、医薬・農薬・食品産業に応用されることが大いに期待されています。本書では、「医薬・農薬になった化合物は、どのように開発されたのか」「ケミカルバイオロジーの発展に、化合物がどう役立っているのか」「化合物が、どのように見つかってきたのか/見つけていくのか」「化合物が、どのように合成されてきたのか」「化合物をどのように使って、何がわかってきたのか」がまとめられていますので、生物活性化合物の現状を俯瞰するのに役立つのではないでしょうか。また、今後の研究展開のヒントになることを期待しています。
このような方におすすめ
ケミカルバイオロジーにかかわる研究者、学生、技術者
目次
主要目次
1章 医薬に関する化合物
2章 農薬に関する化合物
3章 化合物ライブラリー
4章 研究ツールとしての化合物
5章 バイオプローブ
詳細目次
1章 医薬に関する化合物
1.1 アルツハイマー型・レビー小体型認知症治療薬 アリセプト
1.2 免疫抑制薬 タクロリムス
1.3 アミノグリコシド系抗生物質 カナマイシン
1.4 マクロライド系抗生物質 クラリスロマイシン
1.5 イベルメクチン 抗寄生虫薬
1.6 HMG-CoA還元酵素阻害剤 スタチン
2章 農薬に関する化合物
2.1 電子伝達系複合体IIIQi部位を阻害する殺菌剤 アンチマイシン
2.2 電子伝達系複合体I阻害型殺虫・殺ダニ剤 ロテノン
2.3 除虫菊の殺虫成分をリードとした殺虫剤 ピレトリン
2.4 除草活性を示す天然物とその合成類縁体 レプトスペルモン
3章 化合物ライブラリー
3.1 東大 化合物ライブラリー
3.2 理研 微生物代謝産物ライブラリー
4章 研究ツールとしての化合物
4.1 キナーゼ阻害剤
4.2 ホスファターゼ阻害剤
4.3 ヒストン脱アセチル化酵素を標的とする化合物
4.4 低酸素誘導因子HIFs活性化経路を標的とする化合物
4.5 テロメアを標的とする化合物
4.6 ミトコンドリア内膜のプロヒビチン1を標的とする海洋天然物
4.7 乳がん治療薬の開発を導いた海洋天然物
4.8 ヘッジホッグシグナルを阻害する化合物
4.9 複合脂質型の自然免疫受容体リガンド
4.10 抗がん剤を志向したステロイドサポニン系化合物
4.11 タンパク質核外輸送を阻害する化合物
4.12 破骨細胞を標的とする化合物
4.13 植物成長を調節する化合物
4.14 蛍光プローブ
5章 バイオプローブ
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