（地独）東京都立産業技術研究センター　理事長賞

■背景
　従来から電気工事においては，検電器や活線警報装置など電気から身を守るための道具が利用されている。しかし，これらの装置は装置本体が充電部に近づかなければ動作しないため，検電行為そのものを忘れてしまった人や，“装置を装着していない”“装着できない”部分は守れない、『死角』が存在する。
　今回開発した接近センサSN301は、従来のように装置が充電部に近づける必要はなく，ヘルメットに装着するだけで（図１）人体のさまざまな部分が充電部に近づくと検知する。人体が充電部に接近した時、電位上昇（図２のV02）が生じる。このV02は，人体と充電部との距離（図２のd）に反比例する。V02が大きくなることを検出することで，人が充電部に近づいたことを知らせることができる。
　従来装置と同じようにセンサ本体が近づく場合も、センサから離れている人体が接近する場合も両方検知できるので、従来装置より検知範囲が広くなり死角が少なくなるセンサとなっている。（図３）

図２　検知の原理

■主な特長
１．高圧交流電源6.6kV架空配電線に特化して使用
２．一般的なヘルメット（MP型、アメリカン型）に装着し,人体のあらゆる方向からの高圧交流電源の接近をブザー音とLED発光で警告
３．接近距離を注意と警告の２段階でお知らせ
４．内部回路の異常を確認できる自己故障診断機能。電池消耗チェック機能
５．防塵防滴等級IP54相当
６．特許出願中。（株）関電工との共同開発製品
■主な仕様
検知電圧　　　AC6.6kV（対地電圧AC3.8kV）
検知開始距離※ 警告発報　　約70cm
注意発報　　　約140cm（参考値）
対象電圧周波数 50Hz/60Hz
音量 発音部から20cmの位置で50dB以上
耐電圧　　　　AC20kVで1分
電源 CR2032（リチウム電池）3V×1
連続動作時間 待機時　約2.5カ月（電源ON時）
連続検知時　　約５日間
IP規格　　　　IP54相当
EMC指令　　　IEC61326-1
電池消耗警告 電源投入時に警告（ブザーとLED発光）
寸法／質量 4　　3.5（H）×70.2（W）×30.4（D）mm（突起部含まず）
約60g（電池含まず）
標準価格 　　￥26,400 （税抜￥24,000）
※弊社の規定試験条件で感度レベル３（基準値）昇柱作業の距離


図３　検知範囲