世界的なガソリン車への規制が進むにつれ, 国内においても電気自動車の普及が少しずつ高まってきている.  その動きに合わせてEV充電器（EVSE）の設置数も増えてきており, 経済産業省は2030年までに公共の設置数を30万口とする目標を掲げている.  
　今秋発売したEVSEアダプタKEW 8601は“AC普通充電器”の動作チェックやケーブルの絶縁試験, 接地抵抗測定, ELB試験といった基本的な電気試験を行うための試験用アダプタである.  
※CHAdeMO（急速充電）, TESLA（テスラ製充電器）は対象外.  

 　EV充電器は, 安全のために電気自動車を接続した時のみに電圧を出力する仕組みが取られている.  このため設置時に充電器が安全に動作するかをチェックすることが難しくなっている.  

 　一番簡単な確認方法は, 電気自動車を実際に接続して動作確認を行うことだが, 電気自動車を新規購入したオーナーの住宅に, 新たにEV充電器を設置した場合などは, まだ車が納入されていない状態で工事することが多く, 動作確認が難しいことが多い.  また実際にうまく充電ができない場合のトラブルシューティングにおいても, 自動車側か充電器側かの問題の切り分けや原因の調査が難しい.  

 　本EVSEアダプタは, 設置時や保守時の動作確認やトラブルシューティングを簡単に行うために開発された製品である.  EV充電器と接続しツマミを回すだけで簡単に電気自動車が未接続の状態から, 接続された状態までを模擬することができる.  Type1の充電プラグは５つの接点で構成されているが, その全てのピンとEVSEアダプタ上の端子が対応しており, 一般的なバナナプラグが挿せるようになっている.  この端子に手持ちの測定器を接続することで, 出力されている電圧や絶縁, 接地といった試験から, CP信号と呼ばれる制御信号の解析まで行うことができる仕様となっている. 
　またEV充電器の安全のために規格で決められた異常状態もボタンを押すだけで, 模擬することができ, 充電器の安全性をチェックすることに役立つと考えている.