電気設備や工場設備の保全、建築・空調設備などの点検において、異常発熱の早期発見は事故防止や効率化に直結する。サーマルカメラは、温度情報を色によって可視化できるため、容易に異常を検知できる。従来のサーマルカメラは大型のガンタイプが主流であったが、近年、携帯性の面から小型カメラタイプの需要が高まりつつある。

■製品特長
　AD-5637 は、カメラタイプの製品の中でも安価ながら携帯性と実用性を兼ね備えたモデルである。通常時96×96 ピクセルの熱画像解像度をSuper IR機能によって240×240 ピクセルに拡張することができ、より細部の温度変化を検知できる。また、なめらかな25Hzのフレームレートによって温度変化をリアルタイムに捉えられ、Wi-Fi によるスマートフォン連携やUSB 経由のPC 転送によるデータ活用も容易である。さらに、LED フラッシュライトやアラーム機能（ライト点滅でお知らせ）を備えているため、暗所や異常温度の検知にも即応できる。USB-C による充電が可能。温度測定範囲は -20 ～ 350℃であり、PC ソフトを経由して96×96 ピクセルの測定値をCSV 形式で出力することも可能である。

■用途
　AD-5637 の用途は多岐にわたる。電気設備点検では、配電盤や制御盤、送電線等の異常発熱を可視化し、工場設備の保全では、モーターやベアリング、配管継手の温度上昇を早期に把握できる。建築やリフォーム、DIY現場においては、雨漏り箇所や断熱不良部など潜在的な結露リスクの特定に役立つ。空調設備点検では、ダクトの温度ムラや吹出口の温度分布を測定し、効率的なメンテナンスを可能にする。さらに、自動車分野では電装部品や駆動系統の性能試験に活用でき、教育・研究現場では、生物研究や工学研究の実験用ツールとして有用である。農業や畜産分野においても農作物の温度管理、家畜の健康管理に役立つ。
　AD-5637 は、性能、携帯性、実用性を兼ね備えたサーマルカメラであり、多様な分野で安全性と効率性を支える有力なツールとなるであろう。