3Pブレーカ端子用アダプタ「KEW 8331」は、配電盤や制御盤などの電圧測定の現場で求められる「安全性」と「作業効率」の両立を実現することを目的として開発された測定用プローブである。本製品は、これまで広く用いられてきたワニグチクリップや磁石付きコネクタによるブレーカ端子への接続方法に起因する様々な問題を解決する新たな接続手段として提案されている。
従来のワニグチクリップは、端子ネジのサイズや形状に合わない場合があり、接続が不安定となり測定中に外れることがあった。また、開閉時に導電部の位置が変動し、想定外にブスバーに接触して短絡を引き起こす危険性も指摘されていた。磁石付きコネクタは、対象のネジが非磁性体である場合には使用できないという制限があり、作業現場ごとに使い分けが必要になるなど、効率面でも課題があった。いずれの方法もコードに物理的な力が加わると外れやすく、測定結果の信頼性を損なう要因となっていた。
こうした現場の声を反映し開発された3Pブレーカ端子用アダプタ「KEW 8331」は、3つのブレーカ端子ネジに対して一括で確実に接続できる独自構造を採用しており、片手で容易に着脱できる操作性も備えている。内蔵されたバネが端子の壁をしっかりと押さえることで高い固定力を発揮し、測定中の脱落を防止する。接点部にはスプリングを内蔵しており、高さにばらつきのあるネジにも確実に接触できる設計となっているため、多様な測定条件下でも安定した導通が得られる。
さらに、接点は取り外し可能で、逆向きに付けることで接点部の長さを延長することができるため、奥まった端子や段差のある配線構造にも柔軟に対応できる。接点の形状も安全性を考慮し、小型の円柱形状とすることで、必要最小限の部位にのみ接触し、誤って他の金属部に触れて短絡が発生するリスクを大きく軽減している。
対応するブレーカサイズは30 ~ 250Aフレームと幅広く、形状により一部取り付け不可な場合を除き、さまざまな現場で使用可能である。また、接続部にはΦ4バナナプラグを採用しており、ロガーや電力計、テスタなど、多様な電気計測器との接続に対応する。これにより、工場や商業施設に設置された分電盤の設備点検や定期保守といった用途でも、より安全かつ効率的な測定作業が可能となる。
