内容紹介
運転時の生産価値と資源利用効率の向上を中心に解説!
環境、食料、資源の3つの課題は互いに強く関連しあっているので、それらの解決は、個別にではなく、同時並行的に行われることが求められています。同時並行的な解決に有用なものとして「植物工場」があります。本書は、「閉鎖型」植物工場の概念と方法論を一歩前進させたものであり、「人工光閉鎖型植物工場」ともいえます。投入資源の利用効率、ヒートポンプの多目的利用、電力消費量算定法、光合成・呼吸・蒸散の基礎知識と測定法など体系的に解説していきます。
このような方におすすめ
植物工場の導入を考える企業、地方公共団体、農業団体、生協の方
植物工場の設計・施行に携わるゼネコンの方
農学部関連学部の学生
目次
主要目次
第1章 地球規模的課題と植物工場
第2章 植物生産システムの特徴と種類
第3章 閉鎖型植物生産システム
第4章 統合環境制御
第5章 人工光型植物工場に関する定義、社会背景および世界の研究開発状況
第6章 日本の公的機関における人工光型植物工場の研究開発の現状
第7章 光および人工光源
第8章 光および電気エネルギーの利用効率
第9章 植物の基本的生理作用
第10章 植物環境制御の基礎
第11章 薬用植物の生産
詳細目次
まえがき
第1章 地球規模的課題と植物工場
1.1 はじめに
1.2 物質閉鎖系としての地球
1.3 3すくみ問題解決における植物の役割
1.4 植物の特性―光独立(無機)栄養生長性―
1.5 植物生産システム
1.5.1 植物生産システムとは
1.5.2 持続可能性の要件
1.5.3 投入資源利用効率 [ 古在, 2009; 2011]
1.5.4 投入資源利用効率と省資源・環境保全の関係
1.5.5 初期建設資源量と運転資源量
1.5.6 エコロジカル・フットプリント
まとめ
第2章 植物生産システムの特徴と種類
2.1 はじめに
2.2 植物生産システムの特徴と種類
2.2.1 特 徴
2.2.2 種 類
2.2.3 投入資源利用効率の比較
2.2.4 栽培技術と対象植物
まとめ
第3章 閉鎖型植物生産システム
3.1 はじめに
3.2 経 過
3.3 基本的概念
3.4 構成要素
3.5 特 徴
3.5.1 安全、安心
3.5.2 省資源・環境保全
3.5.3 高品質、安定生産
3.5.4 高生産性、安定性、柔軟性、進化性
3.5.5 機器の高性能化
3.5.6 快適労働
3.5.7 高コスト
まとめ
第4章 統合環境制御
4.1 はじめに
4.2 投入資源利用効率と省資源・環境保全との関係
4.3 統合環境制御によるコストパフォーマンスの向上
4.4 投入資源利用効率の算定と向上
4.5 速度変数の計測と制御
4.5.1 速度変数と状態変数
4.5.2 状態変数だけにもとづく環境制御の問題点
4.5.3 速度変数の計測と見える化と制御への利用
4.6 正味光合成速度Pn と施用CO2利用効率Ec の算定
4.6.1 Pn、Ec およびCO2損失速度Lc の関係
4.6.2 CO2損失速度Lc の算定
4.6.3 Ec に及ぼす換気回数N とPn の影響
4.6.4 CO2施用のコストパフォーマンス
4.6.5 換気回数N の連続推定
4.7 水利用効率
4.8 チッソ肥料およびリン酸肥料の利用効率
4.9 光エネルギー利用効率
4.10 電気ヒートポンプ( エアコン)の成績係数
まとめ
第5章 人工光型植物工場に関する定義、社会的背景および世界の研究開発状況
5.1 はじめに
5.2 定 義
5.2.1 従来の定義
5.2.2 太陽光型植物工場
5.2.3 人工光型植物工場
5.2.4 両者の相違点
5.2.5 人工光型植物工場と太陽光型植物工場の併用
5.2.6 作業自動化およびロボット化
5.2.7 本書における植物工場の定義
5.2.8 工場―生産工場と製造工場
5.3 なぜ世界的に人工光型植物工場なのか?
5.3.1 社会的背景
5.3.2 生産者側の利点
5.3.3 問題点
5.3.4 カット野菜の加工工場
5.4 中国における研究開発状況
5.4.1 農業科学院
5.4.2 京鵬植物工場・北京市農業機械研究所
5.4.3 中国農業大学
5.4.4 国家農業信息化工程技術中心
5.4.5 その他
5.5 韓国における研究開発状況
5.5.1 ソウル大学
5.5.2 全北大学、慶尚大学
5.5.3 農村振興庁・国立農業科学院、国立園芸特作科学研究所、京畿道農業技術院
5.5.4 民間企業
5.6 台湾における研究開発状況
5.7 オランダおよび米国
5.7.1 オランダ
5.7.2 米国その他
まとめ
第6章 日本の公的機関における人工光型植物工場の研究開発の現状
6.1 はじめに
6.2 農林水産省および経済産業省の植物工場補助事業
6.3 その他の植物工場プロジェクト
6.4 人工光型植物工場の普及状況
6.5 2012年以降の植物工場関連事業
6.6 農水省事業の一例―千葉大学の場合―
6.6.1 概要
6.6.2 人工光型植物工場に関するコンソーシアム
6.6.3 研究課題例
まとめ
第7章 光および人工光源
7.1 はじめに
7.2 単 位
7.3 光
7.3.1 放射(光)の波長範囲と分類
7.3.2 可視放射
7.3.3 太陽放射の分光分布
7.3.4 光子の保有エネルギーと周波数
7.3.5 フラックス密度とフラックス
7.3.6 光束と照度
7.3.7 PPF、PAR および照度のセンサー
7.3.8 PPF とPAR
7.4 人工光源
7.4.1 光子効率、放射効率およびランプ効率
7.4.2 ランプ効率算定における消費電力
7.4.3 光源の種類
7.4.4 蛍光灯とLED のランプ効率と価格
7.4.5 蛍光灯
7.4.6 LED(発光ダイオード)
7.4.7 CCFL(冷陰極型蛍光ランプ)
7.4.8 ランプ効率と可視放射エネルギー比率
まとめ
第8章 光および電気エネルギーの利用効率
8.1 はじめに
8.2 光および電気のエネルギー利用効率
8.2.1 乾物重ベースのLUEd およびEUEd
8.2.2 LUEd の数値例
8.2.3 正味光合成速度ベースのPUEp およびEUEp
8.3 光エネルギーの変換プロセス
8.3.1 概 要
8.3.2 LUEd に影響する要因
8.4 光エネルギー利用効率LUEd の改善
8.4.1 式( 7 )
8.4.2 式( 8 )
8.4.3 式( 9 )
8.4.4 式( 10 )
8.4.5 式( 11 )
8.4.6 式( 12 )
8.4.7 式( 13 )
8.5 照明率U
8.5.1 定 義
8.5.2 蛍光灯の必要本数と棚面照度
8.6 PPF の空間分布
8.6.1 水平分布
8.6.2 垂直分布
8.7 人工光型植物工場における消費電力量
まとめ
●付表 変数記号と変数名のリスト
第9章 植物の基本的生理作用
9.1 はじめに
9.2 光合成
9.2.1 光合成過程
9.2.2 植物の光合成作用スペクトル
9.3 呼 吸
9.3.1 呼吸基質と呼吸商
9.3.2 暗呼吸と光呼吸
9.3.3 維持呼吸と成長呼吸
9.3.4 暗呼吸速度に及ぼす温度の影響
9.3.5 C3植物、C4植物、CAM 植物
9.4 光合成速度
9.4.1 正味光合成速度とその測定法
9.4.2 NPR の単位
9.4.3 補償点と補償面
9.4.4 環境要因の影響
9.5 蒸 散
9.5.1 蒸散と蒸発
9.5.2 蒸散速度
9.5.3 蒸散速度に影響する環境要因
9.6 光形態形成
9.6.1 定義と光受容体の種類
9.6.2 フィトクロム
9.7 転 流
9.8 養分吸収
9.8.1 多量必須元素と微量必須元素
9.8.2 多量必須元素の機能と生理障害
まとめ
第10章 植物環境制御の基礎
10.1 はじめに
10.2 空気組成
10.3 CO2(二酸化炭素)
10.3.1 密閉単位空間におけるCO2濃度の低下
10.3.2 隙間がある単位空間でのCO2損失速度
10.3.3 CO2施用速度と施用CO2利用効率
10.4 湿り空気
10.4.1 水蒸気圧、絶対湿度および相対湿度
10.4.2 水蒸気飽差(空気飽差)と葉面飽差
10.4.3 空気飽差と相対湿度
10.4.4 乾球温度、湿球温度、露点温度
10.4.5 比容積と比重量
10.4.6 潜熱、顕熱、エンタルピー
10.5 湿り空気線図の見方と具体例
10.5.1 見 方
10.5.2 具体例
10.6 ヒートポンプ
10.6.1 機器構成と機能
10.6.2 成績係数( COP )
10.7 養液管理
10.7.1 養液栽培の方式
10.7.2 養液の管理
10.8 エネルギー収支
10.8.1 人工光源におけるエネルギー収支
10.8.2 閉鎖型システムにおけるエネルギー収支
10.9 環境計測用センサー
まとめ
第11章 薬用植物の生産
11.1 はじめに
11.2 背 景
11.3 環境制御施設を用いた薬用植物の生産
11.3.1 カンゾウ(甘草:Glycyrrhiza uralensis Fischer
11.3.2 トウキ(当帰:Angelica acutiloba Kitagawa)
11.3.3 オタネニンジン(人参:Panax ginseng C. A. Meyer )
11.3.4 セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum L.)
11.3.5 育種・栽培・利用に関する問題点と解決方向
11.4 薬用植物工場から機能性植物工場へ
まとめ
引用文献/参考文献一覧
おわりに
索 引
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